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しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
「話」1933(昭和8)年9月号~1934(昭和9)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 页
二十
遊んでいても仕方無いし、遊んでいられる身分でもないので、薄恕一氏の紹介で、小学校の代用教員になる事になった。赴任地は、大和国吉野郡白銀村、白銀尋常小学校というのである。
五条の町から、山へ入ること三里半、銀峯山の中腹に建っている学校である。月給十一円五十銭。私の受持ったのは三四年生の男女である。二部教授。
教員は、校長、その次、女教員、私と四人。校長は校内に宿泊し、女教員は村の人で、私と、同僚とが、山の崖っぷちに立っている小屋に等しい二間の家――二間と云っても、上り口と、その次と、六畳に二畳の家に住んでいた。食べるものは、芋、干魚、豆腐、寒い山の上なので、冬になると芋が凍っている。豆腐は固くて、五六町上の村まで買いに行くのであるが、藁で縛ってくれる。持って帰ってもこわれないから、えらい豆腐だったと、今でも感心している。
同僚は、前からいるし、私は新参だし、お菜は作るのが上手だし、炊事番は大抵私であった。時々、鹿の肉を売りにくるのと、魚屋が鮫の半干魚をもってくる位で、大抵、菜っ葉と、芋と、豆腐。この生活が八ヶ月つづいた。
所が、この学校へ勤めるという事を、その雪ちゃんに話したところ