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しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

「話」1933(昭和8)年9月号~1934(昭和9)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 页

青空文庫

と考えた。月額四円の節約、これは大きい。

(何うも、あんな先生のあんな講義で、四円五十銭もとるのは、高すぎる)

島村抱月先生は、何故か休講、坪内先生も二回聞いたきり、相馬御風氏が、文学を講じる外、片上先生、吉江先生も英語を教える時間の方が多い。

(英語なんぞ習いに来たんじゃあねえ、もっと、月々雑誌にかいてるような事を、聞きにきているんだ。それを聞かさないんなら、月謝納めないぞ)

いろいろと理由をつけてみたが、理由よりも、何よりも納める事が出来ぬ状態になってしまったから

(見つかって学生証見せろと云われりゃ、其時の事だ)

と、度胸をきめてしまった。

一二ヶ月は、びくびくしていたが、試験を受ける必要はないし――第一に、もとから、そう勤勉に講義に出てはいないのだから

(一学期分と、四円払っているんだから、それで負けておいていいだろう)

学校へは、友人と話しに行くだけで、ノートなどは

(ノートをとると、盗講になるから、とらないですよ)

というような理由をつけて、一冊もとらなかった。この私のクラスは、谷崎、広津、三上、宇野などの二年下で、里芋に拡声器をつけたような木村毅。