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しいんのぎもん
死因の疑問
豊島 与志雄
「小説公園」1951(昭和26)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,260 字 · 27 页
それで清さんは、電燈を消して横になりましたが、着物は着たまま、ただ蒲団をひっ被って、うとうとしただけだったらしゅうございます。
朝になっても、清さんは杉山さんを避けておりましたが、とうとう洗面所でつかまりました。その時、杉山さんは、三千円入りの封筒を清さんの懐に押し込んだのです。
「ほんの僕の気持ちだ。なんでもないんだ。内緒にしとくんだよ。三上さんの耳にはいると、僕もちょっと工合が悪いんだ。こんどまた、ゆっくり話すよ。」
杉山さんはそんなことを言ったそうです。
清さんはその封筒を、ちょっと中を覗いてみただけで、持てあまし、わたくしへ差出したのでした。
清さんのその話、あなたもお気づきのことでしょうが、どうも腑に落ちないところがございます。ただそれだけではない、なにかほかにある、そうわたくしも感じました。たとえ杉山さんが、酔ったまぎれに、ちょっとおからかいなすったことがあったにせよ、清さんが着物を換えず寝床も敷かず、夜更けまで警戒していたというのは、おかしいではございませんか。
しばらく考えましたあと、わたくしはその点を、なるべく差し障りのない言葉遣いで、そっと突っ込んでみました。