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しいんのぎもん

死因の疑問

豊島 与志雄

「小説公園」1951(昭和26)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,260 字 · 27 页

青空文庫

ところが、事務的な直截な言葉に対してさえ、三上はけろりとしていて、一向に反応がありません。少し酒に酔ってもいましたが、面白そうににやにや笑っています。

「それは近頃にない楽しい話だ。僕の身辺も少し華やいできたかな。」

そんな風に茶化して、煙草を吹かしているではございませんか。

わたくしは当が外れたというよりは、なにか癪にさわって、あなたの方はとにかく清さんの方が怪しい、と言い出しました。三上の表情はとたんに変って、はっきり説明しなさい、ときました。そこでわたくしは、杉山さんのこと、それから清さんの言葉など、はっきり説明してやりました。

三上は一言も挾まず、黙って聞いておりましたが、次第に、眉をひそめて険悪な表情になってゆきました。わたくしが話し終りますと、「よろしい、分った。清さんをここに呼んできなさい。」

一徹な見幕でした。

わたくしとしましては、まるっきり見当が違ってきました。でもとにかく、年若い娘のことですから、と一応宥めておいて、清さんを呼びました。清さんが出て来ますと、三上は苦い顔をしましたが、酒を一本つけてこいと言いつけました。なにか苛ら立ってる気持ちを無理に押えつけてるようでした。