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さつじんめいろ

殺人迷路

浜尾 四郎

08 (連作探偵小説第八回)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,668 字 · 6 页

青空文庫

然し君の考え方に従って又他を捜査する考えをもった。けれど、第三段に於て再び、君を疑わざるを得ない。正岡君は第一段の理由によって君を犯人と思惟しているらしい。勿論第二段の考え方で君が犯人でないという説を立てている刑事もある。しかしこの二木は第三段の考えに行く。君は自らあんな証拠を残して来た、ということだ。――僕は君のいう凡てがうそだとは云わない。成程へんな目つきの男もいたろう。怪しい洋装の女もいるだろう。けれど不幸にしてこれらの存在は君の無罪の証拠にはなり得ないのだ」

星田代二はもはや何をいうも無用というように石の如く沈黙している。

「星田代二君、いや星田代二と称する男たる君、もはや十分の覚悟はしてあるだろうね」

この一言にはさすが星田は愕然としたらしく検事を見上げた。

「正岡君は平生君を知っていたらしいのでまず君の名が星田代二であると信じている。けれど、まず僕はそれから取調べてかからなければならない。今書記がもって出た前科調書の裏に君の指紋がとってある。けれども、正岡君は、君に前科のないものと信じていたかもしれない。それで前科なしと記してある。ところが、本庁でうまくそう云ってぬけて来た者が検事局で、怪しまれて前科のばれた例、本名のばれた例がいくらもあるぜ。