轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
「文学界」1937(昭和12)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页
それは規矩男が、一番平凡になって異性に物ねだりするときの顔付きであった。この相似を示す刹那を通じて、規矩男の眼鼻立ちの切れ目に母親の美貌の鮮かさが伝っているのがはっきり観て取れた。
夫人は心安からぬ面持ちを続けながら、
「なにしろわざと大学へは入学をおくらせて、ただぶらぶら遊んで居りますし、ときどき突拍子もないことを云い出しますし、私一人の手に負えない子でして、奥さまのようなお偉い方とお近付きになりましたのを幸い、あれに意見して頂き、また今後の教育の方法に就いてもお伺いもして見たいとは思って居りましたのですが、あんまり無学なお訊ね方をするのも失礼でございますし」夫人は両袖を前に掻き合せた。
かの女は夫人をあわれと思い乍ら頓に失望を感じた。あれほどの複雑な魂を持つ青年の母としては、あまりに息子の何ものをも押えていない母。ただ卑屈で形式的な平安を望むつまらない母親である。なるほど規矩男が、かの女に母を逢わせることを躊躇したのも無理はないと、かの女は思った。
「そんなことございませんわ。むす子を持ちます母親同志としてなら、何誰とどんなお話でも出来ますわ」
かの女はそう云って、相手に対する影響を見ているうちに微かな怒りさえこみ上げて来た。