轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

「文学界」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页

青空文庫

いや、あれにはあれだけの苦労があって、いまも底には随分辛いものをも潜めているのではあるまいか。そういう悲哀の数々が自ずと泌み出るので、たとえ、縦横に振舞い、闊達に処理するようでも、人の反感を買わないのではあるまいか。一郎はずっと幼時、かの女が病弱であったある一時期、小児寄宿舎にやられていた。そこで負けず嫌いな一郎は友達と喧嘩するときよく引掻くので「猿」というあだ名をつけられていると聞いて「男の子やもいとけなけれど人中に口惜しきこと数々あらん」とかの女は切なく詠ったこともあった。子供のときの苦労は身につく。しかし、その苦労を生で出さずに、いのちの闊色にしたところは、わが子ながらあっぱれである。やっぱり根に純粋で逞しいものを持って生れついて呉れたせいであろうか。

かの女は何とも知らず感謝のこころが湧き上って、それを表現するために、誰に向っていうともなく、

「有難うございます」

西洋人の前で不器用な日本流に頭を下げた。逸作も釣り込まれて、ちょっと頭を下げた。

食後に銀座通りの人ごみの中を一巡連れ立って歩いて見せた。人形蒐集熱にかかっている若い夫人は、おもちゃ人形店を漁った。