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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
ある新聞記者の見た敗戦
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,333 字 · 134 页
ところが、こんな風に考える人はあまり多くはないらしく、殊に内地に帰って見ると、恥っかきばかりが目について、どうも面白くない。もっとも、内地といっても、東京と大阪の表口ばかりしか知らないのだから、まだまだ悲観しては早すぎるのかも知れない。
さて、病院に着いた我々は、めいめい毛布一枚、タオル一枚、石鹸一個と蚊帳ひとはりを受領した。蚊帳は細長い一人用である。軍医、衛生兵、使役兵と私とは、二張のテントに分れて住むことになり、ここで一応病院関係の人間が揃ったので、G中尉はまず日課表をきめた。朝飯七時、昼飯十二時、晩飯五時。午後六時半には必ず蚊帳を下すこと。昼寝の時間は、大体十二時から一時までで、それ以外の時、健康者がコットに横になっていることは許さぬ。水浴時間は、病人は必要に応じていつでもいいが、健康人は午後二時ということになった。病院は、前にも書いた通り、海岸にあり、正面の入口から二、三十間も行けば海になる。病人は、どこでもそうだったが、マラリア患者と下痢患者が大多数で、尾籠な話だが、垂れ流しがあり、そんな人達は衛生兵がコットごと、あるいは担架に乗せたまま、海の中に入れて身体を洗ってやる。