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けのゆびわ

毛の指環

宮本 百合子

「若草」1927(昭和2)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,492 字 · 9 页

青空文庫

*

由子はお千代ちゃんという友達を持っていた。由子の唯一の仲よしであった。由子が小学校の六年の時、お千代ちゃんは五年で、仲よしになったのはどんな動機からであったか、由子はもう思い出せない。六年と五年の女生徒が連合で四組舞踏を踊った。先生も無心、生徒も無心、少し退屈を感じながら藤の花の散る下で、オルガンに合わせ、

一二三四、五六七八

一二三四、五六七八

先生は男で白縮の襯衣だ。そのような伸びたり縮んだり輪になる間に、お千代ちゃんと親しくなったのか。

由子はお千代ちゃんと一緒にかえる為に、女学校が退けると小学校まで廻った。お千代ちゃんが当番で、二人並び東片町の大通りを来ると、冬など、もう街燈が灯っていることもあった。

*

由子とお千代ちゃんは歌をうたった。

阿蘇の山里秋更けて

眺め淋しき冬まぐれ

…………

お千代ちゃんは内気らしく、受け口を少しあいて、低い声で歌った。由子は自分の肩をお千代ちゃんの肩にぴったりつけ、顔を上に向け、恍惚と声張り上げてうたった。

お千代ちゃんは、地味な白絣の紡績の着物に海老茶袴をつけている。