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みんぞくのかんたん

民族の感歎

折口 信夫

「図書」岩波書店、1952(昭和27)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,884 字 · 4 页

青空文庫

斎藤さんの文学や、学問に理会のおそかったことが、私一代の後悔でもあり、遺憾でもある。勿論今の人たちのうちでは、私などが最長い愛読者であるには間違いない。ただその研究・作物を愛する道を知ることの遅れたことが、どんなに私の損失になっているかわからない。作家から言っても、千樫・赤彦と移って、其後、斎藤さんの具有する諸相を理会する時が、やっと到ったのである。それだけに、今における尊敬は、私にとって深刻なものである。が、何故もっと若い、触れ易く受けやすい時代に、斎藤さんを自分胸臆のものにしておかなかったかと思う。全面的に此人を感じることの出来たのは、今から思えば、肝腎私が、アラヽギを去って後のことであった。

松かぜは裏の山より音し来て、こゝのみ寺に しばし きこゆる

松かぜのとほざかりゆく音きこゆ――。麓の田居を 過ぎにけるらし

石亀の生める卵を くちなはが待ちわびながら 呑むとこそ聞け

こういう歌を作る境地に達した人と、しんから近づいて行って、心を重ねてものを言うことの出来ぬ寂しさを思うたことであった。その頃考えた。こういう極度に整頓した生活を表現することの出来る人が、同時に作った「石亀の歌」