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みんぞくのかんたん
民族の感歎
折口 信夫
「図書」岩波書店、1952(昭和27)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,884 字 · 4 页
殆こう言う空虚を歌にすることの出来た人は、前人には一人もいなかったと言うことが言いたいのである。斎藤さんが、最尊敬する万葉人には、ややそうした風も見えるが、これはただ音調のみの世界を描き得たものがあるというだけのことであった。私をこわがらせる――こうした空虚を具相する心、此人の心を俟って具相し得た真実相が、茲にはあったことを言っておきたいのである。
日本人が尊び馴れて来た観念文学には、更に奥があって、それがこの人にとりあげられている。そういうことが、自信を失ってしまった日本人の心に、新しい力となって来ること、其に期待を掛けずには居られない。
茂吉文学の愛唱せられている奥に、更に見忘れられた真実がある。そう言うことも考える必要がありはしないか。
だが此事は、もっとこの人の人柄から出る学問と、関聯させて説くべきであった。
〔一九五二年四月〕