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きむずかしやのけんぶつ

気むずかしやの見物

宮本 百合子

――女形――蛇つかいのお絹・小野小町――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,739 字 · 6 页

青空文庫

。

お絹に、遺品として蛇を貰ったところと、お里の家へ忍び込む気になったところまで、感情の連絡に乏しい感じはなかったろうか。

私の心持から見ると、此「両国の秋」と云う芝居は脚本の根本に、何かお絹なりお君なりを、充分活かし切らないものがあったのではないかと思う。

お絹、林之助、お里、小女お君の四人にからんで、筋は情緒的に、生々しく発展すべき性質のものだ。そこへ人間の数が殖えすぎ、筋は、皆、傍の人物が丁寧に説明するようになった。幕毎に、一種の前口上がつく、例えば、第一幕で、楽屋番の豊吉と蛇使いの女の一人とが長火鉢を挾んで説明、批評したことの内容を、お絹と林之助が第二幕二場でやって見せ、三幕目では、ちゃんと、菓子売の勘蔵が、前もって予告した通りのことが、やや茶番じみた台所の物音を先立てて起る。幕と幕とが切実な、新鮮な実感でつながれていなかったことが、ひどく俳優と、あるべき脚本の味を殺いだ。

「小野小町」は、上演の為に改作したのだそうだから、無理もないが、意味を自覚しない悪くどさで、失敗と感じた。(喜劇だから、笑わせさえすればよいと云うのなら、違うけれども。