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みずとほね

水と骨

佐藤 垢石

「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,477 字 · 11 页

青空文庫

地質の関係もあろう。概して裏日本は山嶺近くから耕地が開け、殖林が疎らである。従って陽当たりがいい、雪が早く解けるということになる。

ところが、表山は概して雪が深いのである。これは場所によって岩質の関係もあろうが、初夏から真夏へかけて東南の雨風を受け、頽雪の状態を頻繁に起こすからである。頽雪が岩を削る力は恐ろしいもので、岩の凹みを削って谷となし、谷を掘って峡となし、永い年月働く自然の斧は、表日本側へ深い峡谷を刻んでいっているのである。

谷が深ければ、渓を掩う樹木は密生する。樹木が多ければ、地肌に当たる陽の力は自然に弱くなって雪は夏遅くまで残っている。それが因となり果となって、一方はますます山が深くなっていくのに反して、裏は山が浅くなっていく傾向を持っている。

だから、少し注意深い人であるならば気付くであろうが、概して裏日本側の水源は渓をなしているが、表日本側の水源は流れをなしているのである。

結論というのも変であるが、陽当たりのいい地方の川と、悪い地方の川。ここに水源の高低が分かれるのであろう。

それから、前段に耕地が山奥深く開けているということを言ったが、その川の流域に耕地が多ければ多いほどその川の水温は高くなるのである。