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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

七 禊ぎを助ける神女

阿波のみつはのめの社も、那賀郡のわなさおほその神社の存在を考えに入れてみると、ひぬま真名井式の物語があったろう。出雲にもわなさおきなの社があり、あはきへ・わなさひこという神もあった。阿波のわなさ・おほそとの関係が思われる。丹波の宇奈韋神が、外宮の神であることを思えば、酒の水すなわち食料としての水の神は、処女の姿と考えられてもいたのだ。これがみつはの一面である。

七 禊ぎを助ける神女

出雲の古文献に出たみぬまは早く忘れられた神名であった。みつはは、まず水中から出て、用い試みた水を、あぢすきたかひこの命に浴せ申した。その縁で、国造神賀詞奏上に上京の際、先例通りそのみつはが出て後、この水を用い始めるという習慣のあったことを物語るのである。風土記のすでに非常に曖昧なところがあるのは、古詞をある点まで、直訳し、また異訳して、理会できぬところはその俤を出そうとしたからであろう。それが神賀詞となると、口拍子にのり過ぎて、一層わからなくなっているのである。おちこちの二か処の古川というのが、川岸というようになり、植物化して考えられていった。もっとも、神功紀のすら、植物と考えていたらしい書きぶりである。