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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

九 兄媛弟媛

自殺の方法のうち、身投げの本縁を言う物語を含んだものである。水の中で死ぬることのはじめをひらいた丹波道主貴の神女は、水の女であったからと考えたのである。

九 兄媛弟媛

やをとめを説かぬ記・紀にも、二人以上の多人数を承認している。神女の人数を、七処女・八処女・九の処女などと勘定している。これは、多数を凡そ示す数詞が変化していったためである。それとともに実数の上に固定を来した場合もあった。まず七処女が古く、八処女がそれに替って勢力を得た。これは、神あそびの舞人の数が、支那式の「」を単位とする風に、もっとも叶うものと考えられだしたからだ。ただの神女群遊には、七処女を言い、遊舞には八処女を多く用いる。現に、八処女の出処比沼山にすら、真名井の水を浴びたのは、七処女としている。だから、七――古くは八処女の八も――が、正確に七の数詞と定まるまでには、不定多数を言い、次には、多数詞と序数詞との二用語例を生じ、ついに、常の数詞と定まった。この間に、伝承の上の矛盾ができたのである。

神女群の全体あるいは一部を意味するものとして、七処女の語が用いられ、四人でも五人でも、言うことができたのだ。