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みずのおんな
水の女
折口 信夫
「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页
一三 筬もつ女
比沼の真名井は、天上のものと同視したらしく、天ノ狭田・長田は、地上にも移されていた。大和の高市は天の高市、近江の野洲川は天の安河と関係あるに違いない。天の二上は、地上到る処に、二上山を分布(これは逆に天に上したものと見てもよい)した。こうした因明以前の感情の論理は、後世までも時代・地理錯誤の痕を残した。
湯河板挙の精霊の人格化らしい人名に、天ノ湯河板挙があって、鵠を逐いながら、御禊ぎの水門を多く発見したと言うている。地上の斎河を神聖視して、天上の所在と考えることもできたからである。こうした習慣から、神聖観を表すために「天」を冠らせるようにもなった。
一三 筬もつ女
地上の斎河に、天上の幻を浮べることができるのだから、天漢に当る天の安河・天の河も、地上のものと混同して、さしつかえは感じなかったのである。たなばたつめは、天上の聖職を奉仕するものとも考えられた。「あめなるや、弟たなばたの……」と言うようになったわけである。天の棚機津女を考えることができれば、それにあたかも当る織女星に習合もせられ、また錯誤からくる調和もできやすい。
おと・たなばたを言うからは、水の神女に二人以上を進めたこともあるのだ。