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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

一四 たなという語

天孫又問ひて曰はく、「其秀起たる浪の穂の上に、八尋殿起てゝ、手玉もゆらに織る少女は、是誰が子女ぞ。」答へて曰はく、「大山祇ノ神の女等、大は磐長姫と号り、少は、木華開耶姫と号る。」……(日本紀一書)

これは、海岸の斎用水に棚かけわたして、神服織る兄たなばたつめ・弟たなばたつめの生活を、ややこまやかに物語っている。丹波道主貴の八処女のことを述べたところで、いはなが媛の呪咀は「水の女」としての職能を、、見せていることを言うておいた。このはなさくや媛も、古事記すさのをのよつぎを見ると、それを証明するものがある。すさのをの命の子やしまじぬみの神、大山祇神の女「名は、木花知流比売」に婚うたとある。この系統は皆水に関係ある神ばかりである。だから、このはなちるひめも、さくやひめとほとんどおなじ性格の神女で、禊ぎに深い因縁のあることを示しているのだと思う。

一四 たなという語

漢風習合以前のたなばたつめの輪廓は、これでほぼ書けたと思う。だが、七月七日という日どりは、星祭りの支配を受けているのである。実は「夏と秋とゆきあひの早稲のほの/″\と」と言うている、季節の交叉点に行うたゆきあい祭りであったらしい。