轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こおりぐらのにかい
氷蔵の二階
宮本 百合子
「女性」1926(大正15)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,201 字 · 37 页
「ふむ――でもこの部屋、ひどいのね昼間見ると――そこの硝子どうやったらあくの」
志野は、半幅帯をちょっきり結びにしながら、上眼で部屋を見廻した。
「どこ?」
「表のさ、あすこが明くとからりとすると思ったんだけれど」
「ああ、あすこ。あすこは駄目だ」
志野は、二十三にしては小柄で若々しく白い喉をふり仰のけるようにしてころころと笑った。
「あすこは明かないわよ、釘づけだもん」
「夏どうするの、蒸れちゃうわ」
「いいわよ、今からそんな心配しないだって――実はね――去年の夏、あすこを夜中まで開けっぱなしでうんと騒いだことがあるのよ、そしたら巡査に呶鳴られちゃってね――下の神さんなんて――仕様がありゃしない、意地ばっかり悪くて……」
二階は、一室ずつ貸し、下では氷問屋を営んでいるのであった。
着物を始末すると、志野は一寸髪をかきあげ、
「どれ」
と、前かけをしめかけた。
「どうも有難う、手伝うわ」
「いいの、今日は――今日は引越し祝にあなたお客にしてあげるわ」
「ほんと? すてきすてき! せいぜい御馳走してよ。じゃあ私ここでただ喋くっているからね」
志野は、白キャラコの前かけを丸めてむこうに放ぽり出し、机の前に坐った。