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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

岡本綺堂『江戸情話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:籠釣瓶、箕輪心中、両国の秋、心中浪華の春雨、鳥辺山心中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 页

青空文庫

先度の元和の上洛も将軍家の行粧はすこぶる目ざましいものであったが、今度の寛永の上洛は江戸の威勢がその後一年ごとに著るしく加わってゆくのを証拠立てるように花々しいものであった。前将軍の秀忠がおびただしい人数を連れて滞在しているところへ、新将軍の家光が更におびただしい同勢を具して乗り込んで来たのであるから、京の都は江戸の侍で埋められた。将軍のお供とはいうものの、参内その他の式日を除いては、さして面倒な勤務をもっていない彼らは、思い思いに誘いあわせて、ある者は山や水に親しんで京の名所を探った。ある者は紅や白粉を慕って京の女をあさった。したがって京の町は江戸の侍で繁昌した。取り分けて色をあきなう巷は夜も昼も押し合うように賑わっていた。

この恋物語を書く必要上、ここでその当時に於ける京の色町に就いて、少しばかり説明を加えておきたい。その当時、京の土地で公認の色町と認められているのは六条柳町の遊女屋ばかりで、その他の祇園、西石垣、縄手、五条坂、北野のたぐいは、すべて無免許の隠し売女であった。それらが次第に繁昌して、柳町の柳の影も薄れてゆく憂いがあるので、柳町の者どもは京都所司代にしばしば願書をささげて、隠し売女の取締りを訴えたが、名奉行の板倉伊賀守もこの問題に対しては余り多くの注意を払わなかったらしく、祇園その他