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えどすいりせんりゅうしょう

江戸推理川柳抄

海野 十三

「旬刊ニュース」1948(昭和23)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,774 字 · 4 页

青空文庫

橋の番は、その特殊な判定力を持っていて、それで水の音を聞き分け、「てっきり投げた水の音」と断定するところは、うれしいかぎりである。

推理の力で、事件を見つける。それを川柳に作ったものがある。

明キ店のくしから尻がわれるなり

そのくしをつきつけて、二番手の申入れをするのが普通だったらしく、そういう句もある。

あの男かさけがあると後家ハ言イ

後家さん、あとであッと口をふさいだが、間にあわなかった。

とびしらミおいらじゃないと女房言イ

嵐の前のしずけさか。

事ありと見えて御湯殿しずか也

御刀をよけたが座頭落度なり

スパイ捕縛につく。

すっぽんがいやすと顔を二つ出し

禿の急報であるが、これは誤事件であろう。そんなところにすっぽんがいるわけがない。

土手であい今はなにをか包むべき

土手で逢いどこへどこへと手をひろげ

女房に土手であったは百年目

きわめてかんたん明瞭な推理で結論が出る。

間男が抱くと泣きやむ気の毒さ

とんだ怪現象である。いや、現象は正しいのだ、その現象を起した素因が怪なのである。

わがすかぬ男のふみは母に見せ

まことにハッキリしている。その男の顔が見たいものである。