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つだせいふうくんのえとなんがのげいじゅつてきかち
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
寺田 寅彦
「中央公論」1918(大正7)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,532 字 · 23 页
遂に自分のようなものでも差し出口をきかなければならないような事になるのはどういう訳であろう。
ここまで書いて来て振り返ってみると自分ながら随分臆面もなくよくこれだけ書いたものだと思う。しかし自分として云いたいと思う事はまだなかなか十分の一も尽されていない。一番云いたいと思うような主要な第一義の事柄はこれを云い表わすだけの言葉がなかなか見付からない。それでやっと述べ得た事すらも多くは平凡でなければ不得要領であったり独り合点に終っているかもしれない。
青楓論と題しながら遂に一種の頌辞のようなものになってしまった。しかしあらを捜したり皮肉をいうばかりが批評でもあるまい。少しでも不満を感ずるような点があるくらいならば始めからこのような畑違いのものを書く気にはなり得なかったに相違ない。
津田君の画はまだ要するにXである。何時如何なる辺に赴くかは津田君自身にもおそらく分らないだろう。しかしその出発原点と大体の加速度の方向とが同君として最も適切なところに嵌っている事は疑いもない事である。そして既に現在の作品が群を抜いた立派なものである事も確かである。それで自分は特別な興味と期待と同情とをもって同君の将来に嘱目している。