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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
「国籍不明ノ快速飛行機ガ本機ヨリ一キロ後方ニ尾行シテ来ル」
本機を尾行している国籍不明の飛行機とは一体何者が操るものであるか。
「イマ尾行機内ヲ暗視機デ映写幕上ニ写シ出ス乗組員ニ注意!」
と、続いて警報が聞えた。と、帆村の目の前に映写幕がスルスルと降りてくるが早いか、三人の男たちの顔がうつった。一人は操縦し、一人はラジオ器械を操り、一人はこっちの方を睨んでいた。その男の顔を見た帆村はハッとして、
「ああ『右足のない梟』だ!」と叫んだ。
「うん、やっぱり彼奴が尾行してきおった。彼奴が仲間と連絡しないうちに早く片づけて置こうじゃないか」
と牧山大佐は送話器の中へ怒鳴りこんだ。
「怪力線発射用意」
と号令が響く。「撃てッ!」映写幕に映っていた「右足のない梟」外二名の男たちは俄かに苦悶の表情を浮べた。とたんに横合から白煙が吹きつけると見る間に、焔がメラメラと燃えだした。そして三人の顔は太陽に解ける雪達磨のようにトロトロと流れだした。それが最期だった。暗視機のレンズはチラチラと動きまわったが、そこには白煙の外、なにも空中には残っていなかった。
「敵ながら惜しい勇士じゃったが……これも已むを得ん。