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りゅうこうさっかのし

流行作家の死

野村 胡堂

「新青年」1932(昭和7)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,876 字 · 28 页

青空文庫

に靴を穿いて居る女というのが奇抜だよ」

「そう言えばそうだが、その時漫然と見て居ても、あとで事件が大きくなったんで、淡い記憶がはっきり焼き付けられたんじゃ無いか」

「さア」

二人は黙りこくって考込みました。

「もう一度あの夕刊売の少年に逢って見よう、住所は判ってるネ」と足の勇。

「書き留めてあるよ」

「それじゃ、追っ駆けて行って、今度は浪子夫人と立花秀子を一緒に訪ねて、首実検をさせようじゃないか」

「それもよかろう」

二人は自動車を飛ばして、夕刊売少年の住所を探しましたが、千種十次郎に教えて行った、青山穏田のその番地は、大きい邸宅ばかりで、夕刊売などをやる少年の住んで居そうな場所ではありません。

「しまったッ、あの時警視庁の花房一郎君にでもそう言って、本職に聞かせるんだった」

と言ったところで追っ付きません。

「あれは皆んな出鱈目か」

「容易ならぬ相手だ、勇、一と奮発する気は無いか」

「大にやろう」

「僕は浪子夫人の方を探って見るから、君は立花秀子の方へ接近して見たらどうだ。僕は小栗の関係で、浪子夫人は表面からよく知って居るが、立花秀子は女優時代の関係で君の方が懇意だろう」