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うみからきたつかい

海からきた使い

小川 未明

「少女倶楽部」1925(大正14)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,149 字 · 13 页

青空文庫

」と、おばあさんはたずねました。

少女は、急に、さびしそうな顔つきをしました。

「この世界には、わたしの家というものはないのでございます。わたしは、まったくの独りぼっちで、今日はこの町、明日はあちらの村というふうに歩いています……。」と、少女は答えました。

すると、おばあさんも、おじいさんもあきれた顔つきをしました。

「まあ、そんなら、お母さんも、お父さんもおありなさらぬのですか?」と、二人はたずねました。

「わたしのお母さんも、お父さんも、ここから遠い、遠い、歩いてはゆかれないところにいらっしゃいます。」と、少女は答えました。

おばあさんは、うなずきました。

「二人とも、おなくなりなさったので……あなたは、孤児なんですね。」といって、独りでそうきめてしまいました。

盲目のおじいさんは、おばあさんのそでをひきました。

「やさしい子でもあるし、両親がないというのだから、幸い、家の子にしてはどうだな?」と、顔をおばあさんの方に向けて、小さな声でいいました。

おばあさんは、じろじろと少女のようすを見て、孤児にしては、あまりきれいで、どことなく上品なので、なんらかふに落ちないように小くびを傾けていました。