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うみのおどり

海の踊り

小川 未明

「少女画報」1929(昭和4)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,419 字 · 7 页

青空文庫

暗くなると、がけの上に火をたいて、暗い沖の方に向かって合図をしました。

また、年老った祖母は、海の見える窓ぎわに、仏壇にろうそくをあげ、孫が、闇の中をこいでくる時分に、この燈火を目あてにすることもあろうと、その下にすわって、無事に帰るようにと、祈っていました。

英吉は、これらのちらちらする火影を、遠くからながめました。そして、しんせつな人々の心づくしに感謝しました。また、その一つの火影の下にすわって、こちらの沖を見つめているおばあさんの姿を、ありありと目に描いていたのです。

松の木と別れた、いすかは、若者の無事を知ると心から祝して、日暮れ方前に、船の上を過ぎて、遠くへ飛んでゆきました。そして、ただひとり、日が暮れても、松の木だけは、物狂おしそうに、海に向かって、ほえていました。