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うみへ
海へ
小川 未明
「日本少年」1918(大正7)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,099 字 · 7 页
「私の知った町の糸屋で、小僧が欲しいということだから、龍雄をやったらどうだ、先方はみなしんせつな人たちばかりだ。なんなら私から頼んであげよう。」
と、おじいさんはいいました。これを聞いた龍雄の親たちはたいそう喜びました。そして、さっそく龍雄をその家へやることに決めました。
いよいよ家から出て、他人の中に入るのだと思うと、いくらわんぱく者でもかわいそうになって、もう二、三日しか家にいないというので、両親はいろいろごちそうをして龍雄に食べさせたりしました。ある日のこと、龍雄は母親とおじいさんの二人に連れられて、町へいってしまいました。
龍雄が村にいなくなったときくと、日ごろ彼からいじめられていた子供らは、みな喜び安心しました。もうこわいものがないと思ったからです。
彼の母親や、また父親は、
「いまごろはどうしているだろう。」
と、龍雄のことを思い暮らしました。すると、いってから二、三日たったある日の晩方、突然、戸口に龍雄の姿が現れたから、両親はびっくりして、そのそばに駆けよりました。
「どうして帰ってきたか?」
と、母親は問いました。
母親は、なにか我が子が悪いことでもして出されてきたのではないかと思ったので、こういう間も胸がとどろきました。