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かいりゅう
海流
宮本 百合子
「文芸春秋」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,977 字 · 72 页
井筒が腹立たしそうに答えた。
「ねえ、だって、何とかならないのかしらん。どうして三田先生おとなしく引っこんでるんでしょう。ねえ、どうしてそんなことはいやだと頑張らないんでしょう。ねえ、三田先生だって私たちがこんなに思ってるのがわかれば、きっと何とかなさるわ」
「今日の放課後でも、三田先生のところへ行って見たらいいわ、そうすりゃ少し様子がわかるから」
級の意志を代表するのだからと云って、この有志訪問に幹事の飯田も参加させられた。
予科では、三田の出る筈だった時間に、カキがやって来て、三田先生は一身上の都合で地方へ転任するのだから、いろんな噂を信じないようにと云って、自習を暫く監督して行った。この彌縫策は翌日になって予科全体をすっかり怒らせる結果になった。カキが公然と予科を騙したこと、子供扱いにしたことが予科のみんなをおこらせた。
三年はその日は食堂などでも一般に妙に落付いていて、よそよそしい態度を示した。
宏子は三田の家を訪問する仲間には入らなかった。それは相談の上のことであった。杉も残る組にまわった。はる子はグループをそういう風に分けた。前の晩に打合わせはされていた。