轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふかがわにょうぼう
深川女房
小栗 風葉
「新小説」1905(明治38)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页
お光さんは今年三だね?」
「ええ、よく覚えててね」と女はニッコリする。
「そりゃ覚えてなくって!」と男もニッコリしたが、「何しろまあいいとこで出逢ったよ、やっぱり八幡様のお引合せとでも言うんだろう。実はね、横浜からこちらへ来るとすぐ佃へ行って、お光さんの元の家を訪ねたんだ。すると、とうにもうどこへか行ってしまって、隣近所でも分らないと言うものだから、俺はどんなにガッカリしたか知れやしねえ」
「私ゃまた、鳥居のところでお光さんお光さんて呼ぶから、誰かと思ってヒョイと振り返って見ると、金さんだもの、本当にびっくらしたわ。一体まあ東京を経ってから今日までどうしておいでだったの?」
「さあ、いろいろ談せば長いけれど……あれからすぐ船へ乗り込んで横浜を出て、翌年の春から夏へ、主に朝鮮の周囲で膃肭獣を逐っていたのさ。ところが、あの年は馬鹿にまた猟がなくて、これじゃとてもしようがないからというので、船長始め皆が相談の上、一番度胸を据えて露西亜の方へ密猟と出かけたんだ。すると、運の悪い時は悪いもので、コマンドルスキーというとこでバッタリ出合したのが向うの軍艦! こっちはただの帆前船で、逃げも手向いも出来たものじゃねえ、いきなり船は抑えられてしまうし、乗ってる者は残らず珠数繋ぎにされて、向うの政府の猟船が出張って来るまで、そこの