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ふかがわにょうぼう

深川女房

小栗 風葉

「新小説」1905(明治38)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页

青空文庫

「ええ、それはそうですね。私なぞも新聞を見るたび、どうしてこんなことがと不思議に思うようなことがよくありますからね。それは広い世間ですから、いろいろなこともございますよね」と媼さんはいい加減にあしらって、例の洋銀の煙管で一服吸ってから、「それで、何でしょうか、写真は向う様へお見せ下さいましたでしょうか?」

「ええ、それは見せました、こないだ私がお宅から帰ると、都合よくちょうど先の人が来合わせたものですから」

「それで、御覧なさいましてどんなお口振りでした?」

「別にその時は……何しろ急いでいたものですからね、とにかく借してくれってそのまま持って行きましたが……それは、お仙ちゃんのあの縹致ですから、あれを見て気に入らないってことはありますまいよ」とお光は気の乗らぬ笑顔をする。

「ですがね、あの写真は変に目が怖く写っていますから……」

「そんなことはありゃしませんよ。けれど、ただね、ちとどうも若過ぎやしないかって……」

「ええ、私もそれを言わないことじゃなかったのですよ、あまりあれじゃはで作りで、どう見ても七か八に見えますもの。正真なところ、二月生まれの十九ですから……お光さんからもそうちょっと断っておもらい申すでしたにねえ」