轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

げんおじ

源おじ

国木田 独歩

「文芸倶楽部」1897(明治30)年8月10日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,455 字 · 23 页

青空文庫

下

手には小さき舷燈提げたり。舷燈の光射す口をかなたこなたと転らすごとに、薄く積みし雪の上を末広がりし火影走りて雪は美しく閃めき、辻を囲める家々の暗き軒下を丸き火影飛びぬ。この時本町の方より突如と現われしは巡査なり。ずかずかと歩み寄りて何者ぞと声かけ、燈をかかげてこなたの顔を照らしぬ。丸き目、深き皺、太き鼻、逞ましき舟子なり。

「源叔父ならずや」、巡査は呆れし様なり。

「さなり」、嗄れし声にて答う。

「夜更けて何者をか捜す」

「紀州を見たまわざりしか」

「紀州に何の用ありてか」

「今夜はあまりに寒ければ家に伴わんと思いはべり」

「されど彼の寝床は犬も知らざるべし、みずから風ひかぬがよし」

情ある巡査は行きさりぬ。

源叔父は嘆息つきつつ小橋の上まで来しが、火影落ちしところに足跡あり。今踏みしようなり。紀州ならで誰かこの雪を跣足のまま歩まんや。翁は小走りに足跡向きし方へと馳せぬ。

下

源叔父が紀州をその家に引取りたりということ知れわたり、伝えききし人初めは真とせず次に呆れ終は笑わぬものなかりき。この二人が差向いにて夕餉につく様こそ見たけれなど滑稽芝居見まほしき心にて嘲る者もありき。