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げんぞうがはら

源蔵ヶ原

山本 周五郎

「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页

青空文庫

「みんなが揃ったらって」云いかけて、宗吉は振向いた、「――来たようだぜ」

女中となにか云う男の声がし、すぐに障子をあけて泰二が顔を出した。縞の袷に半纒、三尺帯をきちっとしめている、痩せて頬のこけた顔は、寒さのためか蒼白く硬ばり、唇も紫色になっていた。

「やあ」と泰二は五人それぞれに頷きかけ、こっちへはいって障子を閉めた、「――おそくなって済まなかった、ちょっと仕事の区切りをつけていたもんだから」

「ここへ来いよ」と市三が自分の脇へ手を振った、「のろ、もうちっとそっちへ寄れ」

「いつでもこの伝だ」のろは膝をずらした、「のろ、あっちへいけ、へえ、のろ、こっちへ来い、へえ、なんてえこった」

「泰さん」と宗吉が云った、「断わっておくがおめえの膳はねえんだ、それにはわけがあるんだが」

泰二はわかっているというふうに、こくんと頭をさげ、膝を固くしてうなだれた。市三だけが眼の隅で、それを見た。

「改まってわけということもねえだろう、話はお光ぼうのことだ」と忠太が宗吉のあとを継いで云った、「――お光ぼうがこのうちから暇を取って、いなくなったのは十月のことだ、それから五十日、どうしているか誰にもわからなかった、そうして十日まえに聞いた