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ぎょそんのふじんのせいかつ
漁村の婦人の生活
宮本 百合子
「漁村」1941(昭和16)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,258 字 · 7 页
そのどれもが大切なことだと思われた。
この頃でも浜の日向で網つくろいをしているのは、お爺さんたち男ばかりなのだろうか。ああいうことは女に出来る仕事と、はた目には見られる。たとえば、カニ網梳きという内職は、漁村からはなれた土地の女たちの稼ぎとなっているけれども、浜の漁師のおかみさんたちがそれをしているのは少くとも見たことがない。鰯の加工の仕事などは女が働いているが、そういう加工の仕事のないところの漁家の婦人は、魚売りのほかにどんな直接の仕事があるだろうか。昨今のことだから工場へでも行くひとが多いのだとばかりも云えないであろう。
農村の女の生活も実に辛苦に満ちていて、乳児の死亡率も多いし、トラホームなどもひどくはびこっている。経済的にゆとりのないことと、時間がないことが農村の女の向上を阻んでいるのだが、漁家の女が何とはなしその日暮しの生活の習慣に押しながされている傾きのつよいのは、漁家の生計の基礎が安定していなくて、一日一日が漁不漁に支配され、或るときは大漁と思えば次はまるで不漁という極めてむらな条件におかれているからであるのは明らかだと思う。
いくらかまとまった金が入ったにしろ、かねての借金にそれがまわると思えば貯蓄も現実に不可能である。