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えんげきのようしき――そうろん

演劇の様式――総論

岸田 国士

「演劇講座第四巻 演劇の様式」河出書房、1951(昭和26)年11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,091 字 · 22 页

青空文庫

演出家万能、演出至上主義の演劇が成り立ち得ることについては前に述べた。演出家ひとり天才であるという稀な場合を除いて、この傾向は、徒らに演劇を萎靡させることに役立つのみである。

舞台中心の演劇という表現は、まさに意味がないようだけれども、ここで言おうとするのは、舞台を含めた劇場の性格が、演劇の「かたち」をいろいろに変える実例についてである。

まず、「大劇場演劇」とか、「小劇場演劇」とかいう名称が、既に、われわれの間で用いられはじめたのは、ずいぶん以前のことだが、これは観客数の違いもあり、また、舞台の大きさ、広さの比較の問題もある。上演される戯曲の密度とその普遍性、俳優の演技の幅、装置や効果の工夫にまで、その関係は直接に響いて来る。「大劇場」必ずしも、商業劇場とは限らず、「小劇場」必ずしも高踏的な舞台を目指してはいないが、そういう誤解も生じ得る。

ここで、「民衆劇運動」と呼ばれる外国の例をとれば、なるだけ多くの観衆に、なるだけいい芝居を観せるために、座席数千という大劇場で、すぐれた新旧の戯曲を上演し、これを安い料金で見せることをも目的としている。

そして、このために、最も適当な戯曲の生産を提唱し、また自ら、これを標榜する作家もあつた。