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えんげきへのいちぐち
演劇への入口
岸田 国士
「演劇」毎日ライブラリー、毎日新聞社、1952(昭和27)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,575 字 · 8 页
を見、各自の才能に応じて、「舞台芸術の一分野」を開拓すればよいのである。
われわれは、手近にあるものを、偶然選ぶことで満足してはならないと思う。
演劇は、いつの時代でも、民衆の生活と欲求とを反映するものであるが、時として、それは、ゆがめられた政治や、卑俗な商業主義によって、民衆自身の真の希望を裏切るようなものに堕落する。民衆はしばしば「あるもので間に合わせる」習慣になじむところから、常にきびしい注文を持ち出すことを忘れてしまう。
日本の演劇の水準が、どの程度のものかということは、もちろん議論の余地はあるが、少なくとも現代人の生活に根をおろし、そこから健かに伸び育ったというものは、ごくわずかしかない。
演劇のほとんどすべてが、興行者の手中に握られているという状態も、おそらく、近代社会に類をみないところである。
公共的な性質を帯びた演劇活動が、なぜ日本には起らないか? 政治家の無定見もさることながら、やはり、民衆の演劇に対する理解が薄いところから来るともいえる。
公立劇場のない文明国は、世界に一つもないし、自治体たる都市の経営する非営利的劇場の設立は、今や、時代の趨勢である。