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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

ありがとう」

このデニー博士のあいさつは、非常な感激を地球上の人々に与えたようである。

それから後は、無電室は猛烈に忙しくなった。公式の通信の隙間に、各通信社からの特別通信申込が殺到して、それにいちいちどう答えてよいのか分りかねた。なにしろこっちは只一つの無電装置が回復したばかりであって、とても地球からのおびただしい通信の申込みを満足させることができなかった。

デニー博士が再びマイクの前に立って、われわれは今火星に着陸したものの、非常な危険に曝されて居り、火星探険記などについて今詳しい報告を送っている余裕のないことを正直に告げなかったとしたら、せっかく回復した宇宙艇の無電装置は使いすぎのため間もなく壊れてしまったことであろう。ようやく事態が地球上にも分かり、政府は、命令を以て、今後当分のうち、宇宙艇との通信は公報にかぎられることとし、一方デニー博士の要求に応じてあらゆる後援を惜しまず、その申出に待機することとなった。

こうして地球と宇宙艇との通信さわぎは、一先ず治まり、無電員も楽になった。

デニー博士は会議の席へ戻った。そしてそれから二時間、割合としずかな時刻が過ぎていった。