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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

「牛の背中にのって……」

ネッドが目をまるくした。

「……紙の花片が、大雪のようにふってくる。五色のテープが、僕たちの頭上をとぶ。すばらしい歓迎ぶりだ……」

「うそだよ、そんなこと。僕たち四人がそんなすばらしい目にあう気づかいないよ。だって、僕たちは、おこずかいを貯めて、やっと自動車旅行をしている身分じゃないか」

と河合が、山木の手を払っていえば、山木も、

「ふうん、話が少しお伽噺みたいだね」

と、今はうたがいを持ったらしく、首をひねる。

そのときだった。どこかでベルがけたたましく鳴りだした。と、人々のわめく声、つづいて乱れた足音が廊下をかけて行く。

「何だろう、あれは……」

「火事じゃないかな」

「火事じゃないだろう。映画が始まるんじゃないかな」

「よし、張君に占わせよう。さあ張君。占った。あのベルの音は、何事が起ったのか」

「さあ、困ったなあ」

「さあ早く早く」

ネッドが水晶の珠を張の方へおしつける。

「まあ、待て、もっと落着かなくては……」

「そんなことは後にして、廊下へ出て、誰かに聞いてみなくちゃ……」

と、河合は立って扉をあけようとした。そのときどすんと非常に大きい音が聞えたと思うと、部屋が今にも崩れそうに、震動した。