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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

あの出来事によって、君たちは感づいたろうと思ったがね」

「ああ、R瓦斯。あの実験は、やっぱり火星探険に関係があるのですか」

「そうとも、大いに関係があるんだ。あのときいろいろな動物を、原っぱにつくった檻の中に収容しておいて、R瓦斯にさらしたのだ。その結果、ほとんどすべての動物が、あの瓦斯を吸って死んでしまったよ」

「僕たち人間でも昏倒するぐらいですものねえ」

「そうだ。しかしその中で、割合平気でいたものがある。それは鰐と蜥蜴と蛙だ」

「爬蟲類と両棲類ですね」

「うん、もう一つ、牛が割合に耐えたよ。その次の実験には、マスクを牛に被せた。すると更によく耐えることが分った」

「R瓦斯というのは、どんな瓦斯ですか」

「R瓦斯は、火星の表面に澱んでいる瓦斯の一つで、これまで地球では知られなかった瓦斯だ」

「毒瓦斯なんですね」

「地球の生物にとってはかなり有毒だ。しかし火星の生物にとっては、R瓦斯は無害なんだ。いや彼等にとっては棲息するために必要な瓦斯なんだ、ちょうどわれわれが酸素を必要とするように……」

マートン技師が、そういって話をしているとき、別の部屋の扉が開いて、別の青年がとび出して来た。