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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
「ああ、マートンさん。火星の表面はなぜあんなにぼんやりしているのですか」
河合少年は、こんなときに誰よりも先に質問したくなるのだった。
「ああ、霞んでいるわけをいいましょうか、あれはね、火星の表面には水蒸気があるからだ。地球だってそうだ。水蒸気があるから雲があって、今日だって大陸の形などよく見えやしない。火星の水蒸気は、地球の水蒸気と比べて二十分の一しかない。その割に、火星の表面がぼんやりしているわけは、もう一つある。それは火星の周囲をかなり夥しい宇宙塵が取巻いているせいだ。宇宙塵てわかるかね」
「何だろうな、ウチュウジンて?」
ネッドが大きい目をぐるっと動かした。
「宇宙塵というのは、宇宙の塵なんだ。つまり星のかけらの小さいのが宇宙塵だ。これが火星の周囲をぐるっと取巻いている。だから火星の表面は一層見えにくいのさ」
マートン技師は自分の説明が少年たちにわかったかどうか心配げな顔である。
「宇宙塵は、なぜ火星のまわりに集まっているんですか」
張少年から質問が飛びだした。
「宇宙塵がなぜ火星を取巻くようになったかという問いだね。ううん、これはむずかしいことだ。