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かやくせん

火薬船

海野 十三

「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页

青空文庫

それも、無理からぬことであった。後に、そのときのことが、思いあわされたように、竹見にとっては、これが良き仲間ハルクとの永遠のお別れであったのだ。いくたびか、悪船長ノルマンの暴力から、竹見を救い出してくれた巨人ハルク! 身体の大きいに似合わず、母親のように、親切にしてくれたハルク! そのハルクとは、このとき限り、再び手をにぎる機会を逸してしまった竹見であった。

こっちは、船長ノルマンであった。

ノルマンは、さんざ、巨人ハルクを、利用するだけ利用したうえ、ハルクが毒蛇のためにかまれて、もう再起する力がないと見るや、れいこくにも、ハルクを倉庫の中にすててしまった。

彼は、倉庫の鍵をもっていたから安心しきっていた。まさか、あの倉庫の通風窓が破られることなどは、勘定に入れておかなかった。だから、鍵を自分のポケットにしっかりにぎっているかぎり、誰もハルクの傍に行くことはできないものと信じていた。

(いずれ、あとでもう一度いってみよう。ハルクは、たぶん息をひきとっているだろうから、そうしたら、後に面倒のおこらないために、倉庫の中に穴をほって、ハルクの死体をうずめてしまおう)