轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てん
点
小川 未明
「新天地」1909(明治42)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,063 字 · 17 页
――娘の胸の上に片手を置いて、片手で顔を掩うて泣いた。
「犠牲になるんだ。」
「止めるな。」といい様、がんがんと額の骨を打ち砕いて、無惨にも釘は少女の額から下の白木の十字架に深く打ち貫かれた。――それが済むと翁は、その儘黒い服を引摺て黒い帽を被ったまま其処に立って、一同を冷かに見廻した。四辺は水を打ったように静かであって誰れ一人翁を見上げたものがない。翁は青い榊の枝を取上げて、それで少女の顔を掩うて静かにその家を立去った。
急に、
「悪魔!」
「人殺し!」というような声が湧き上って、後から人が追って出る気はいがした。
悪寒い曇った天気は、夕方から雨になった。
………………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………
或夜翁は、忽然として悟ったという。……その日は恰かも冬で雪の降る日であった。……翁は朝早く、身に附けていた黒の衣も頭巾も脱ぎ捨てて、上下共にちょうど外に降る雪のような白装束に着換えたのである。――白い頭巾の結び紐は、背のあたりに垂れ下って、胸に掛けた小さな黄金の十字架が、しんとした空気の裡に輝きを放っていた。