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むざん
無惨
黒岩 涙香
「小説叢」1889(明治22)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,602 字 · 56 页
だ仮定説だ事実とは云われぬテ之から未だ「ヴェリフィケーション」(証拠試験)を仕て見ん事にや(谷)サ夫が生意気だと云うのだ自分で分らぬ癖に人の云う事に批を打たがる(大)けどが君、君が根拠とするのは唯様々の傷が有と云うだけの事で傷からして大勢と云う事を考え大勢からして博奕場と云う事を考えた丈じゃ無いか詰り証拠と云うのは様々の傷だけだ外に何も無い、第一此開明世界に果して其様な博奕場が有る筈も無し―(谷)イヤ有るから云うのだ築地へ行ッて見ろ支那人が七八も遣るし博奕宿もあるし宿ッてもナニ支那人が自分では遣らぬ皆日本の博徒に宿を借して自分は知らぬ顔で場銭を取るのだ場銭を、だから最うスッカリ日本の賽転で狐だの長半などを遣て居るワ(大)けどが博奕打にしては衣服が変だよ博多の帯に羽織などは―(谷)ナアニ支那人の博奕宿へ入込む連中には黒い高帽を冠ッた人も有るし様々だ、夫に又アノ死骸を詳しく見るに手の皮足の皮などの柔な所は荒仕事をした事の有る人間でも無し、かと云て生真面目の町人でも無い何うしても博奕など打つ様な惰け者だ」