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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

夕方までに電灯をひいてもらって、今日から、夜間興行をやることにしよう。工事料は現金でもっていけ」

「はいはい。行ってきましょう」

なにしろ、道具もなければ、金もないので、小屋がけをしたはいいが、はじめは電灯を引くことも出来なかった。天井なしの、天気のいい日だけ、昼間興行で打切りというすこぶる能率のわるいやり方で、がまんしなければならない新興ミマツ曲馬団だった。

だが、蓋をあけると、どやどやとお客が押しよせてきて、たちまちしわだらけの札が、団長の帽子の中に一ぱいになってしまった。

二日目には、客からお届けものの栗まんじゅうの入っていたボールの箱を、臨時金庫にしたが、たちまちこの箱も、札で一ぱいになって、箱はとうとうこわれてしまうというさわぎであった。そこで、仕方なくそばやさんから、乾うどんの入っていた木箱をゆずってもらって、これを三代目の金庫としたが、この金庫も、三日目には、札で、すっかり底が浅くなってしまい、うっかり持ちあげると、板底から釘がぬけだすというわけで、夢みたいに金が集まってきた。こうなれば、電灯工事費なんかなんでもない。

房枝の出し物は、もともと小馬ポニーを使って、身軽な馬術をやるのが一座の呼びものになっていたが、そのポニーは、雷洋丸とともに、太平洋の底に沈んでしまった。