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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
バラオバラコは、二人をおどかすため、この上ない、よい場所をえらんだのであった。
「おお、ここがネオン・ビルだが」
黒川は、立ちどまった。
「ああここがネオン・ビル?」
房枝は、ネオン・ビルときくと、急にからだがひきしまった。そして、バラオバラコがなんだと思った。そのために、さびしさ、おそろしさが、いくぶん消えていったようである。ちょうどそこは、大きな寺院の入口みたいな荘重な大玄関であった。左右に何本かの石柱が並び、石段がその間をぬって上へのぼっている。奥はくらくてわからないが、重い扉がしまっているようである。
「だれもいないじゃないの」
房枝が、反抗するような口調でいった。
「そうだなあ。まだ、先方の御人が来ていないのだろう。わしたちが、一足先に来たというわけにちがいない。やれやれ気づかれがした」
黒川は、そういって、冷たい石段に腰をおろした。そのときである。とつぜん、階段の上から思いがけない人のこえがした。
「ふふふふ。さっきからこっちは待ちくたびれていたぞ」
「あっ!」
黒川は、それをきくと、石段からはねあがった。
襲う者、追う者
房枝も、ひじょうにおどろいた。