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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

かくごしろ」

トラ十は、ざんにんなことを、平気でいう。

黒川が、それに不服をいうと、とたんに、トラ十のこぶしが彼の頬にとんだ。

いったいトラ十は、なにをねらって、こんなばかげたことをくりかえしているのだろう。黒川がしらべられると、次は房枝の番になる。裸にされるなんて、いやなことである。

「房枝、うごくと承知せんぞ。お前にはこれが見えないのか」

房枝が、そっと石段を一段だけ下りようとしたとき、トラ十は、すばやくそれを見てとって、ピストルの銃口で、房枝の背中をついた。

(だめだ、もうのがれるすべはない)

房枝は、かなしくなった。いよいよとなったら、すきを見て、トラ十を蹴ってやろうと、最後の腹をかためた。

そのときである。二人のうしろにいたトラ十が、とつぜんおどろきの声をあげた。

「あっ、だれだ。じゃまをするのは」

うーむと呻って、トラ十は、あばれ出した。

「トラ十、こんなところで君にあえるなんて、こんなうれしいことはないよ」

「そこを放せ。お前はだれだ」

黒川と房枝は、うしろをふりかえった。

どこから降って湧いたか、一人の男が、トラ十のうしろから組みついている。