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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「この記事、ごらんなさい。けさミマツ曲馬団、火災をおこして焼けてしまいました」

「まあ」

房枝は、夢を見ているのではないかと、あやしんだ。

だが、手にとった新聞には、まちがいなくミマツ曲馬団が今暁二時、一大音響とともに火を出して、すっかり焼けてしまったことと、そして団員と思われる二十数名の犠牲者が、その焼跡から発見されたことが、写真まではいって報道されているのであった。

「な、なんということでしょう」

その写真には、炎々たる焔に包まれた、ミマツ曲馬団の天幕がうつっていた。夢ではないのだ。なんという不運なミマツ曲馬団であろうか。一体、この火事の原因は何であろうか。

新聞記事には“原因は目下取調中であるが、ガソリン樽が引火爆発したのではないかとの説もある”

(ガソリンの樽――そんなものはない。ガソリン樽の引火なんて、そんなことはうそだ!)

と、房枝は、はやくも、記事のあてにならないことを見やぶった。

では、一体どうしたのであろうか。

爆発するものなんか、おいてなかったはずである。しかも団員が、それがために二十数名も死んでしまうなんて、そんなひどい爆発力をもったものはないはず。