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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
私は前へとび出していくと、受付の巡査に代って『よろしい、ここへおいてゆけ』といったのです。そしてすしをもちこんだ当人の住所姓名をたずねると、トラ十の従弟で、この先のこれこれの工場に働いている者ですといって、すらすらと答えたんです。そこで私は、すしをうけとって『よろしい』というと、その男は帰っていきました」
「なるほど」
検事はうなずいた。
「さあ、そこですしの始末ですが、これには困りました。なにしろ、トラ十はここにはいないのですからねえ。もったいないが、われわれが代りに食べるというわけにもいかない。すしは、机の上においたなりになっていました。がそのうちに、思いがけない事件がもちあがったのです」
「ほう、猫の一件だな」
「そうなんです。私たちが、うっかりしている間に、警察署の小使が飼っている玉ちゃんという猫が、昨今腹が減っていると見え、いつの間にか机の上のすしを見つけ、紙包の横を食い破ると、中のすしを盗んで食っているのです。『ああ猫がすしを食べている!』と、誰かがいったときには、もう二つ三つは、玉ちゃんの腹の中に入っていたのでしょうが、皆がさわぎだして、玉ちゃんのところへ飛んでいったのですが、そのときどうしたわけか、猫は逃げもせず、そこにうずくまっているのです。