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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
「ほーら、ここよ。ここのところだけ、色がちがうでしょう」
「ああ、ここね。これは昔の安いメリンスの古ぎれね。ほかのところのよせぎれが、ちりめんだの、紬だの、黄八丈だののりっぱなきれで、ここだけがメリンスなのねえ。でも、これは爆発で色がかわったのではなくて、もともと、これはこんな色なのよ」
「そうかしら、でも、へんね」
「なぜ」
「でも、へんじゃないの。そこのところだけ、安っぽいメリンスのきれを使ってあるなんて、どうもへんだわよ。きれが足りなかったんだとは、思われないわ」
スミ枝が、無遠慮に、いいはなつところを聞いていると、なるほど、へんでないこともなかった。房枝は、その色がわりの安いメリンスのきれに、じっと目をおとしていたが、
「あら」と、とつぜん叫んだ。
「なによ。房枝さん。どうしたの」
「いえ、このメリンスの模様ね、梅の花に、鶯がとんでいる模様なんだけど、あたし、この模様に何だか見覚があるわ」
「あら、いやだわ」
スミ枝が、ぷーっとふきだした。
「スミ枝さん。なぜ、おかしいの?」
「だって、梅の花に鶯の模様なんて、どこにもあるめずらしくない模様よ。それをさ、房枝さんたら、何だか見覚があるわなんて、いやにもったいをつけていうんですもの」