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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页
看護婦が出ると、こんどは、船長のとこへかかってきたのではない。船長から船医のところへ、かかってきたのである。
「あ、ドクトルだね、たいへんだ。すぐ来てくれたまえ。場所は、第一石炭庫。見つけだした松ヶ谷団長は、顔にひどい怪我をしている。そして、なんだか、様子がへんだ。妙なことを口走っている。うごかせそうもないから、すぐに来てくれたまえ」
と、船長のこえは、うわずっていた。
船医は、薬や注射器をもってすぐかけつけると返事をした。そして、看護婦をいそがせて、自分は鞄をもち、看護婦には、洗滌器などの道具をもたせて、あたふたと、医務室を出ていった。
あとには、赤石と曾呂利と房枝の三人きりとなってしまった。
そのとき房枝も、そわそわしていたが、団長の様子が気になるとみえ、彼女もまたそこを出ていった。あとには、赤石と曾呂利の二人きりとなった。
船員赤石は、死んだようになって、ベッドに寝ている。眼をあいているのは、曾呂利一人だった。
その曾呂利青年は、しばらくあたりの様子をうかがっていたが、誰も近づく者がないのを見すますと、肘かけ椅子から、すっくと立ち上った。彼の右足は、膝のうえから下を、板切ではさみ、そのうえに、繃帯でぐるぐるとまいていて、いかにも痛そうであったが、ふしぎにも、このとき、彼は、室内をすたすたと歩きだした