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ばくやくのはなかご

爆薬の花籠

海野 十三

「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 101,908 字 · 204 页

青空文庫

「ニーナ嬢? ああ、ニーナ嬢ですか。こいつは意外だ。あれは、メキシコの実業界の巨頭の令嬢です。そしてニーナ嬢自身は、慈善団体の会長という身分になっている」

「慈善団体であろうが、なんであろうが、とにかく、嬢については怪しむべき節が、いろいろある。さっき、私をピストルでうったのは、ニーナ嬢なんですからねえ」

「え、ニーナ嬢が、あなたや、私たちをうったのですか。これはまた、意外中の意外だ」

「ニーナ嬢は、ある事からして、私を生かしておけないと思ったのでしょう。もうあれ以上、私は曾呂利本馬の姿をしていることは危険なので、こうして、服装を改めたのです」

帆村の話は、すじが立っていた。船長もようやく帆村の言葉に、すがりつく気持ちができた。

「よろしい。直ちにニーナ嬢に監視員をつけましょう」

船長の言葉は、どうも生ぬるい感じがあった。でも、船長としては、それが大決心であったのだ。彼は誰を呼び出すつもりか、自ら電話機の方へよって手をのばした。とその時、とつぜん船長も帆村も、そこに居合わせた一同、はげしい振動におそわれた。今まで、静かな航海をつづけていた雷洋丸に、帆村の心配していた大事件が突発したのだ。