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はちゅうかんじけん
爬虫館事件
海野 十三
「新青年」1932(昭和7)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,914 字 · 38 页
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前夜の調べ物の疲れで、もう少し寝ていたいところを起された私立探偵局の帆村荘六だった。
「お越し下すったのは、どんな方かね」
「ご婦人です」助手の須永が朗らかさを強いて隠すような調子で答えた。「しかも年齢の頃は二十歳ぐらいの方です」
(なにが、しかもだ)と帆村はパジャマの釦を一つ一つ外しながら思った。この手でも確かに目は醍る。……
「十分間お待ちねがうように申上げて呉れ」
「はッ。畏まりました」
須永はチョコレートの兵隊のように、わざと四角ばって、帆村の寝室を出ていった。
隣りの浴室の扉をあけ、クルクルと身体につけたものを一枚残らず脱ぎすてると、冷水を張った浴槽へドブンと飛び込み、しぶきをあげて水中を潜りぬけたり、手足をウンと伸したり、なんのことはない膃肭獣のような真似をすること三分、ブルブルと飛び上って強い髭をすっかり剃り落すのに四分、一分で口と顔とを洗い、あとの二分で身体を拭い失礼ならざる程度の洋服を着て、さて応接室の内扉をノックした。
応接室の函のなかには、なるほど若い婦人が入っていた。
「お待たせしました。さあどうぞ」と椅子を進めてから、「早速ご用件を承りましょう」